2013年4月26日金曜日

SLAM DUNK


 言わずと知れたバスケ漫画の金字塔。久しぶりに読み返してみて、また感動してしまったので、何が良かったのかを考えてみる。

①愛がある
 とりあえず登場人物にイヤな奴がいない。豊玉の南や岸本さえ、バスケを愛するがゆえに堕ちてしまったのであり、結局はまたバスケに救われる。多分一番イヤな奴である三浦台の村雨(板倉やテルオという説も)でさえコミカルだ。桜木、赤木、流川、三井、宮城、安西先生、晴子、彩子、陵南、翔陽、海南、豊玉、山王…etc. 皆バスケが好きで、繋がっているのだ。

②成長を追体験できる
 素人の桜木がガムシャラに強豪達に挑む中で、目に見えて成長していく。恵まれた体格と身体能力を活かして、リバウンドに開花し、大事な所でダンクをかます。庶民シュート、ゴール下、ジャンプショットと技が増えていくのがいい。桜木だけでなく、流川も赤木も牧も魚住も河田兄も沢北も、皆努力している。

③化学反応
 湘北のスタメンの5人は勿論、対戦相手や周囲とのやりとりを通して化学反応が生まれ、戦局は変化していく。バスケットボールという題材自体が生む必然であり、人間同士の相互作用が生み出すマジックを読者は堪能できる。

④いい台詞が多い
「天才ですから」「全国制覇」「諦めたらそこで試合終了ですよ」「バスケがしたいです」「まずは日本一の高校生になりなさい」など、数え上げたらキリがない。大志を抱くことの大切さと、挑み続けるための楽観を生み出す思考様式。そういうTIPSが詰まってる。そこには説教臭さや、押し付けがましさはない。シンプルで、愛があり、自ずから口に出てきた、必然的な心情の発露なのである。
 

 で、結局、何がいいんだろうか?
 大志を抱き、ひたむきに勝利を目指す、その全ての過程が、醍醐味や魅力が、詰まっているからではないか。giant killing=弱小チームが強豪チームを破っていく快進撃が生み出すカタルシスは他の多くの娯楽作品に共通している。最後の山王戦の感動は、挑戦の気概、逆境の克服、チームプレイのダイナミズム、そういうものが凝縮され、純粋な形で味わえる。底に流れる作者のバスケットボールへの深い愛によって、読む者の心にジワリと染み込む。

 そして、主人公の能力にリバウンドを選んだのは、ワンピースの作者が主人公にゴムの能力を与えたのと同じくらい重要な点だと思う。リバウンドとは「逆境を克服する力=レジリエンス」の象徴である。劣勢を盛り返す起点であり、失敗しても再挑戦するためのチャンスを生み出す瞬間である。そんな気がする。
  

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