2014年2月10日月曜日

ウルフ・オブ・ウォールストリート


 株屋が成り上がって破滅する話。実在の人物ジョーダン・ベルフォートの回想に基づいている。

 ニューヨークのウォール街で証券会社を旗揚げした主人公とその一味が、金を稼ぎまくって、薬と女で遊びまくる。正直、金融屋というのは何も生み出していないのに金儲けをしている、という悪いイメージが強かったが、対立軸として描かれる多くの中流~下層の人間の垢抜けない生活描写との対比が際立ち、その正当性に関して本当に考えさせられる。欲望に正直になり、生きる歓びを屈託なく追求し享受することを選んだ人間を盲目的に批難するべきか?という。「下品な拝金主義」や「心を失った欲望の奴隷」と鼻白んで罵るのは簡単だが、そんな風に目を逸らしていては、この世界を動かす力動の本質を理解できない。

 私は人生における快楽とaddiction(依存症)の物語だと思って観ていた。trainspotting酒とバラの日々とダブる場面が多々ある。孤独や虚無感を紛らわす鎮痛剤としてのマネーゲームと放蕩。報酬系の投射は高みへと昇るための駆動力にもなるし、破滅へと導く阿片にもなる。

 円熟味のあるレオナルド・ディカプリオの演技が実にいい。桁外れに下品で、興奮と寂しさがあり、静かに残るものがある。179分の長尺も苦にならない、かなりいい感じの娯楽作品だと思う。
   

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