2015年10月18日日曜日

武器よさらば


 第一次世界大戦に従軍経験のあるヘミングウェイの長編小説。1919年頃のイタリアが舞台のラブロマンス。

 主人公はイタリア軍に所属するアメリカ人の青年フレドリック。前半は戦場での兵士の生活の様子が主で、後半に進むに連れ、英国人の看護師キャサリンとのロマンスの色が強くなる。そして最後は、、、前半と後半のコントラストの妙で胸に迫る。戦時の非常と、平穏が保証する情愛の日々の対比

 ヘミングウェイ的な人生の愉しみ方が詰まっている。戦時のリアリズム、情事と酒と旅情、底に横たわる喪失と虚無感。簡潔な文章で喚起される空気がいい。なんというか、潔さと諦観がある。

 でもまあヘミングウェイは短編の方がいいな、という感は否めない。『陽はまた昇る』よりは読んでいて楽しかったが、筆者は短編の方が好き。
   

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